政策提言①正社員増による雇用創出
複数回に分けて、橿原市に対する政策提言を行います。
第1回の政策提言テーマは「正社員増による雇用創出」です。橿原市在住の方が、非正規ではなく正社員として働くことを後押しする政策を具体的に提言します。
同じ内容を動画でも説明しています。
制度の土台 キャリアアップ助成金
橿原市内での「正社員増による雇用創出」のために、厚生労働省の「キャリアアップ助成金、正社員化コース」を、制度設計の土台とすることを提言します。
厚生労働省の「キャリアアップ助成金、正社員化コース」は、非正規労働者を6カ月以上雇用している事業主が、その労働者を正社員に転換した際、受給できる助成金です。助成金額は半年ごとに40万円を2回、つまり1人の労働者に対して80万円が事業主に支給されます。
正社員転換により、月給や賞与、法定福利費等が増加するため、80万円では十分な助成とは言えません。しかし、人材不足が社会問題化する中、正社員の長期安定確保が有効であると考えられているため、多くの会社がこの助成金を活用しています。
また、対象人数の制限が緩やかであるため、人数を気にせず取り組むことができます。なお、正社員には「時短正社員」も含まれるため、例えば1日6時間勤務の「時短正社員」に転換する場合も対象となります。
政策提言(キャリアアップ助成金の上乗せ支給)
キャリアアップ助成金には、対象労働者が一定条件に該当する場合の「上乗せ支給」が設定されています。例えば、ひとり親家庭の親である場合には95,000円、派遣労働者である場合には285,000円が上乗せされます。
私の政策提言は、このキャリアアップ助成金に対して、「橿原市独自の上乗せ支給」を行う仕組みを導入するものです。具体的には以下3つの制度設計条件とします。
1点目は対象事業者です。対象事業者は橿原市内に事業所があることを条件とします。
2点目は対象労働者です。対象労働者も橿原市内に在住していることを条件とします。
3点目は審査体制です。橿原市独自の審査を大幅に省き、厚生労働省の審査結果を土台とします。
3点目の条件を設定することにより、橿原市では審査に職員の労力を掛けることなく、制度を運用することが可能となります。
というのも、キャリアアップ助成金は、制度スタートから10年以上経過しており、この間様々な不正問題が生じたため、厚生労働省が支給要件、審査体制を厳格化してきたという経緯があります。
特に令和7年度の制度改正は、厳格化の完成形であるとも言われているため、この要件をクリアして支給決定通知を得た事業所に対して、橿原市独自の審査を大幅に省いて上乗せ支給を行っても「市のリスクはほとんどない」と言えるためです。
橿原市独自の上乗せ支給額
最後に「橿原市独自の上乗せ支給額」について提言します。
例えば、制度設計条件1「橿原市内に事業所があること」、および制度設計条件2「対象労働者が橿原市内に在住していること」を同時に満たす場合20万円を支給し、いずれか一つが欠ける場合、半額の10万円を支給する、などの金額設定を提言します。
仮に1年間に100人の正社員増加を見込む場合、2000万円の予算が必要となりますが、長期的に見ると住民税の歳入増加や、本人の所得増による副次的な経済効果を見込むことができます。
まとめ
橿原市に対する政策提言、第1回は「正社員増による雇用創出」についてご説明しました。この政策を推進することで、事業所側に、
・橿原市に事業所を出店し、橿原市民を雇用しよう
・最初は非正規で雇用しても、ゆくゆくは正社員へ転換させよう
などの動機付けが期待できるとともに、橿原市側は審査にほとんど労力を掛けずに制度運用することができます。
是非、実際の議会の場で提言して参りたいと思います。最後までお読み頂き誠にありがとうございました。
【この記事の執筆者】
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◆プロフィール
奈良県橿原市 1975年生まれ
奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆奈良県橿原市議会議員/井ノ上剛(いのうえごう)公式サイト
◆介護職員実務者研修修了
◆社会保険労務士、行政書士
(執筆の内容は投稿日時点の法制度に基づいています。ご留意ください。)
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