政策提言④正規部課を横断するプロジェクト組織(マトリクス型)の創設

複数回に分けて、橿原市に対する政策提言を行います。

第4回の政策提言テーマは「正規部課を横断するプロジェクト組織(マトリクス型)の創設」です。縦割り行政の弊害を是正するための、横断的組織の併設を提言します。

都市機能充実のための5つの大事業

現在、橿原市では都市機能を充実させるための5つの大事業が進んでいます。事業の内容と市役所の所管部署は以下の通りです。

政策提言④正規部課を横断するプロジェクト組織(マトリクス型)の創設

議会ではこれらの議題の集中審議を行うために、全議員出席の特別委員会を設けています。ちなみに令和6年度段階では「大和八木駅周辺街づくり」、「世界遺産登録に関する特別委員会」は設置していないため、これらは常任委員会で一般審議されます。

このように、市役所の管轄部署が特定の課題を担当する組織構成のことを「機能別組織」と呼びます。一般の会社で用いられている部署の概念と同じです。

機能別組織の利点と弊害

「機能別組織」の利点としては、責任範囲が明確になり、また1人の統括責任者(部長)から一元的な指揮命令が行われる点にあります。

一方、「機能別組織」の弊害としては、いわゆる「縦割り行政」を挙げることができます。現状の橿原市における5つの大事業においても、「縦割り行政」の問題が生じつつあります。

具体例を挙げます。「橿原運動公園体育館・プール整備」と「医大新駅周辺街づくり」では、区域が隣接しているにも関わらず、交通・観光・商工面での横断的議論が行われにくい点。

また、「市役所本庁舎建替え」と「大和八木駅周辺街づくり」でも、大和八木駅を中心とした、半径1km区域の全体的議論が行われにくい点を挙げることができます。

要するに、[交通・観光・商工] など都市機能全体を横断する所管部署が不明確であるわけです。

プロジェクト組織の創設逓減

この問題を是正するために、正規部課を横断する「プロジェクト組織」の創設を提言します。「プロジェクト組織」は別名、「マトリクス組織」とも呼ばれます。

政策提言④正規部課を横断するプロジェクト組織(マトリクス型)の創設2

具体的には、各部署から代表として課長以下数名を輩出し、合計10名程度から成るプロジェクト組織を創設するものです。プロジェクト組織の長としては、副市長が就任するのが適任であると考えます。

構成員は通常業務においては、所属元の部長の指揮命令下で業務を遂行し、プロジェクト業務においては、プロジェクト長である副市長の指揮命令下で業務を遂行するものです。議会に設置する特別委員会にも、プロジェクト長及び数名の構成員が出席することを提言します。

このような組織体制を構築することで、現状橿原市が抱える5つの大事業に対して、柔軟かつ横断的に対応することができると考えます。

【この記事の執筆者】

井ノ上剛(いのうえごう)
◆プロフィール
 奈良県橿原市 1975年生まれ
 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒

◆奈良県橿原市議会議員/井ノ上剛(いのうえごう)公式サイト
◆介護職員実務者研修修了
社会保険労務士、行政書士

(執筆の内容は投稿日時点の法制度に基づいています。ご留意ください。)