橿原市役所、本庁舎建替え問題
今回は橿原市役所、本庁舎建替え問題について、要点を分かりやすくご説明します。情報は令和6年12月時点のものです。
同じ内容を動画でも解説しています。
市役所本庁舎 これまでの経緯
橿原市役所本庁舎は令和5年に解体工事が始まり、約1年かけて解体されました。橿原市議会では現在、特別委員会を設置し、新たに建設する本庁舎のあり方について検討を重ねています。始めにこれまでの経緯を簡単に振り返ってみます。
すでに解体された橿原市役所本庁舎は、昭和36年に建設されました。建設から35年経過した平成8年、安曽田市長当時に耐震診断を行った結果、「耐震性能が劣る」と診断されました。その後、森下市長時代に建替え計画が進みましたが、平成30年、大和八木駅前にホテルと庁舎機能を兼ね備えた分庁舎を建設するに留まりました。この時点で、耐震性能の劣る本庁舎には複数の部署と議会が残ったままでした。
令和元年には、残る本庁舎の建替えを掲げる森下前市長と、建替えを行わず、既存施設の活用を掲げる亀田現市長の間で、選挙戦が行われました。結果として亀田現市長が選挙戦に勝利したわけですが、既存施設活用に多額の費用が掛かることが判明したため、森下前市長の建替え案を縮小する形で、再度計画案を練りました。
令和3年、いざ建替え計画を実行に移す段階で、想定外の地盤問題が浮上し、設計事業者から12億円の増額報告がありました。この報告を受け、亀田市長は建替え計画を中止し、再検討に入ったという経緯があります。
耐震性能の劣る本庁舎には依然として複数の部署や議会が残っていたため、令和5年に解体工事に着工、本庁舎に残っていた部署や議会は、万葉ホールをはじめ、市内各地の施設に一時的に分散しています。
現在の検討状況
令和6年12月議会で、担当部署から現状報告がありました。この報告によると、本年実施した施策としては4点あり、
①職員ヒアリング
②市民アンケート
③庁内検討委員会の随時開催
④事業者ヒアリング
以上です。4点目の事業者ヒアリングを行う理由として、現在の橿原市の考え方では、市役所単独の建物にするのではなく、民間との複合施設を目指しているためです。例えば6階建てのうち、1階から3階が小売店、飲食店、医療介護施設、子育て教育施設などの民間施設、4階から6階を市役所とする等の考え方です。
現段階の可能性としては、市の所有である底地を民間事業者に有償で賃貸し、民間事業者が建設所有する案が有力です。市役所は民間事業者に建物賃料を支払う代わりに、土地賃料を受け取る形が想定されます。仮にこのような計画が実現すれば、橿原市は何十億もかかる建設費用を負担することなく、毎年の賃料支払だけの負担で済む可能性があります。なお、これらはあくまでも構想段階の可能性である点にご留意ください。
来年度以降、特別委員会では、本庁舎のあり方について検討を進めていきます。その際の前提条件としては4つあり、
1.市民や来訪者が集い、賑わいを作ること
2.将来人口の減少や、職員の新たな働き方に対応できること
3.災害時の拠点として機能すること
4.市の財政負担が少なくて済む方法とすること
以上となります。 市議会としては、特に財政負担に着目し、監視の目を緩めず議論していく必要があります。
今回は橿原市役所、本庁舎建替え問題についてご説明しました。
【この記事の執筆者】
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◆プロフィール
奈良県橿原市 1975年生まれ
奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒
◆奈良県橿原市議会議員/井ノ上剛(いのうえごう)公式サイト
◆介護職員実務者研修修了
◆社会保険労務士、行政書士
(執筆の内容は投稿日時点の法制度に基づいています。ご留意ください。)
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