令和3年6月議会報告

令和3年6月議会一般質問写真

※こちらの内容は「いのうえごう広報誌 令和3年夏号」の記載内容と同様です。

市役所本庁舎移転案 反対意見が優勢

210612市庁舎3

この市長案は現状、正式な議案(条例案・予算案)ではないため、「採決」という形をとることができず、現時点の市議会議員の意思表示を「挙手」という形で示しました。

井ノ上は「賛成」に挙手しましたが、結果9対10で、反対意見が優勢です。

橿原市役所本庁舎の建て替え議論を時系列にまとめてみます。

年月出来事築年数詳細
昭和36年1月市庁舎建築現在地で市庁舎落成
昭和56年6月建築基準法改正20耐震基準が厳しく
平成8年5月本庁舎耐震診断35「耐震補強が必要」と診断
平成17年2月耐震補強基本構想44耐震工事の方法を決定
平成18年6月耐震補強実施設計45想定以上の耐震工事が必要と判明
現実的には工事不可のため中止
平成22年12月新庁舎基本構想49【規模】17000㎡規模の建て替え
【態様】分散している施設を集約する
【場所】次の3つの候補地から
 ・現地拡大(9700㎡)※最有力
 ・八木駅南市有地(3800㎡)
 ・五井町市有地(24300㎡)
平成30年2月分庁舎建築57上記17000㎡のうち約7400㎡を収容
(八木駅南市有地3800㎡に建築)
平成31年3月新庁舎建築基本計画58【規模】11500㎡(17000㎡から分庁舎移転分を控除)
【態様】分散している施設を集約する
【場所】現地拡大
【予算】65.7億円
令和元年10月橿原市長選挙 亀田市長初当選58新庁舎建築場所について
「既存施設活用も視野に入れ、計画を見直したい」
令和2年2月現地での建て替えを決定59「既存施設活用案は面積上の問題から困難」
【態様】分散している施設を集約する
【場所】現地拡大
令和2年4月新庁舎基本計画(修正版)59【規模】9500㎡(当初計画から2000㎡縮小)
【予算】57.7億円(当初計画から8億円縮小)
令和3年3月設計事業者より
「予算約12億円超過見込み」報告
60市長「建て替え計画を中止、再検討したい」
令和3年6月市長、既存施設活用案を議会に提示60賛成9 反対10  ← 今ココです

反対される議員諸氏の主張と、それに対する井ノ上の考えは、概ね以下の通りです。

《反対議員諸氏の主張》《井ノ上の考え》
用地提供者に申し訳が立たない市の発展のために最善策を検討し、丁寧に説明すべき
すでに設計予算を使っている最終支払いはまだであり、今後設計事業者と協議可能
今まで長時間議論してきた庁舎に関するこれまでの議論は決して無駄ではない
新築より移転費・将来改修費の方が高い詳細な試算の上で、どちらが費用面で優位か、比較検討すべき

国体主会場橿原へ誘致 大きく前進

令和3年6月、井ノ上が委員長を務める「市スポーツ施設の活用整備に関する特別委員会」を開催し、国体主会場を橿原市へ誘致する計画が、大きく前進しました。

この問題も時系列でご説明しますが、先に次の点を抑えておくと、理解しやすいと思います。

ここがポイント!

①奈良県としては、劣化の進む県内のスポーツ施設を、10年後の国体招致を機に充実させたい。
②国体主会場には、「第1種陸上競技場」、「サブトラック(運動場)」、「アリーナ(体育館)」の3施設が必須。
③それだけの施設をまとめて整備することができる土地を、奈良県が今から確保するのは困難。
④そこで、「橿原運動公園」に白羽の矢が立った。

年月当事者出来事
令和元年6月荒井知事 → 亀田県議(現橿原市長)議会での質問に答える形で、「県営橿原公苑と市営橿原運動公園を交換したい」と答弁。
10月橿原市長選挙亀田氏 vs 森下氏。「県営橿原公苑と市営橿原運動公園の交換案」を積極的に推進することを掲げる亀田現市長が初当選。
12月亀田市長 → 荒井知事要望書提出(スポーツ拠点の一体的整備に関する協議の開始を求める)
令和2年8月荒井知事 & 亀田市長覚書締結(今後、県と市のスポーツ拠点の一体的整備について、①国体主会場整備、②地域振興、③スポーツ振興と健康増進、④地域防災、以上の観点から協議していく)
同月奈良県議 南部振興議員連盟 → 橿原市議会協力要請書(国体開催について、市および市議会の協力を)
11月橿原商工会議所 → 橿原市議会要望書(橿原市への国体主会場誘致を)
12月奈良県 → 橿原市市営橿原運動公園と県営橿原公苑の一体的整備についての「奈良県の考え方」が示される。
令和3年2月橿原市 → 市内スポーツ団体「奈良県の考え方」について意見をヒアリング。イメージ図の中で、取り壊しされるように見える施設利用団体からは、反対の声。(後に、これはあくまでもイメージ図であることが確認されました)
3月橿原市 → 奈良県「奈良県の考え方」に関する質問書を提出 (4月に県から回答を得ました)
4月亀田市長 → 荒井知事「橿原運動公園」について下記要望(抜粋)
①橿原市民が活用しやすい環境づくりを
②防災拠点の機能維持を
③緊急避難場所としての安全性確保を
④周辺道路整備のための財政支援を
5月荒井知事 & 亀田市長覚書締結(双方の議会の了承を得ることを条件に協議を進める)
同月荒井知事コメント「覚書締結が施設整備に結びつくよう、心から期待したい」
「県議会議員の先生からも橿原に国体主会場を、との要望があり、それを受けて県は動いている」
6月奈良県議 南部振興議員連盟 → 橿原市議会依頼文書(橿原市に国体主会場を)
同月市特別委員会市営橿原運動公園と県営橿原公苑の一体的整備について、初めて「橿原市の考え方」を示す(抜粋)
①県と市はスポーツ施設の一体的整備問題を継続的に連携・協働を
②県は整備過程で損なわれる施設の補完・代替を
③防災機能の一層の充実を
特別委員会では概ね全会一致で承認。 ← 今ココです。

以上によりまして、国体(国民スポーツ大会・全国障害者スポーツ大会)の主会場候補として、橿原運動公園とする案が最有力となりました。今後の主要な検討課題は以下の通りです。

①一体的整備により、取り壊し対象となるスポーツ施設の代替案、代替予定地の確保(空白期間を生じないよう、最善の努力を尽くす)
②地域防災拠点としての橿原運動公園・橿原公苑の役割り検討

ちなみに橿原総合プールについては、老朽化、利用者減少、維持管理費用の増加を理由に「取り壊し」との見方が優勢です。井ノ上個人としては、レジャープールの同規模再建築は不可能であるにせよ、競技用プールの代替施設が必要であると考えています。

医大新駅について

県立医大付属病院付近に「医大新駅」を設置する構想についてご説明します。医大周辺のまちづくり計画の中で、医大新駅の果たす役割は大いに期待されますが、近鉄側は「医大新駅を整備する場合、八木西口駅との併存は不可(つまり、八木西口駅の移転)」との方針が揺るぎません。

状況を一覧表で整理する前に、次の点をお読み頂くと、ご理解が進みやすいと思います。

ここがポイント!

地元自治体(例として橿原市)の要請による新駅設置のことを「請願駅」と言い、この場合設置費用の多くを、地元自治体が負担することになります。現状の「医大新駅」は請願駅ではなく、近鉄・奈良県・橿原市の三者協議による整備計画駅です。八木西口駅を「医大新駅」と併存させると、大和八木駅から400mで八木西口駅、さらに800mで医大新駅となり、列車の運行計画に支障が出るため、「医大新駅は八木西口駅の移転による」というのが近鉄の考えのようです。

年月当事者出来事
平成27年9月荒井知事コメント「医大新駅は、地元が整備費用を全額負担する請願駅ではなく、近鉄も応分の負担をする方向で協議することに合意した」
平成29年10月八木西口駅近隣自治会 → 橿原市八木西口駅存続を求める要望書
令和3年2月橿原市 → 近鉄書面提出(医大新駅と八木西口駅の併存を希望)
①八木西口駅の維持管理費用の一部は市が負担する
②大和八木駅以南は各駅停車でなくとも良い
③八木西口駅の乗降者数が一定以下になれば廃止もやむなし
④医大新駅整備の、近鉄・県・市の費用負担割合について継続協議を
同月近鉄 → 橿原市・八木西口駅を残したまま、医大新駅の設置はできない
・当社の費用負担割合は、医大新駅に関する当社受益相当分(メリット)が上限
令和3年6月橿原市 → 医大病院来院者医大病院への交通アクセスについてのアンケート
アンケート対象の85%、502人が鉄道以外で来院(主に車)。
さらに502人のうち、
312人(62%)が駐車場の拡大整備を希望
114人(23%)が「医大新駅」の設置を希望
→結果、医大新駅の整備により周辺道路の一部渋滞緩和が見込まれます。

令和3年2月の近鉄からの回答により、今後橿原市として取るべき方針は、次の二者択一となってしまいました。

・街づくりと渋滞緩和を優先し、医大新駅整備を進める(八木西口駅は廃止)
・医大新駅構想は中止し、今井町の玄関口である八木西口駅を残す

市議会議員である私の立場は、この二者択一議論の「中間妥協案」を主張し続ける事であると考えています。

コロナ対策補正予算が立て続けに成立

令和3年3月の当初予算編成後、5月臨時議会、6月定例会それぞれで補正予算が成立しましたので、ご案内します。

成立日予算番号主な内容補正予算額
5月26日第2号子育て世帯特別給付金
時短要請協力金
1億8305万
3億7200万
6月22日第3号コロナワクチン接種体制確保  9051万

いずれの議案も本会議を通過し、市民の皆様のために支出することが決まっています。

時短要請と公共施設休館の効果は?

新型コロナウイルス感染拡大が続いた4月下旬、橿原市では

①市内飲食店・カラオケ店に対する営業時間短縮要請(時短要請協力金支給)
②公共施設の利用制限

以上2点について、市民の皆様にお願いしました。結果として、下表のとおり新規感染者の減少に繋がりました。ご協力頂いた事業者様、公共施設のご利用を控えて頂いた皆様に感謝申し上げます。

210618新規感染者数推移

6月定例会 井ノ上の一般質問

令和3年6月議会の一般質問では、次の2点を中心に施政方針を問いました。紙面の都合上、全文掲載ができませんので、詳細は市のホームページの動画、または「議会だより」をご参照ください。

コロナ禍における融資は、「失った売上高を貸付という形で補っている」に過ぎない。融資されたお金はすでに事業者さんの手元にない。将来の返済不安に備えて、債務の返済猶予(リスケジュール)を支援する制度を設けてはどうか。

非常に分かりやすい提案に感謝している。頂いたご意見を参考に検討していく。

右肩上がりの介護保険給付について、過剰なケアプランが作成されていないかどうかの検証は?また9月以降に強化されるという、県と市の共同実地指導の方向性は?

上限近くまで利用されているケアプランについて、9月のシステム改修後に検証を実施するが、県からの情報提供の方法については現時点では未定である。

今後も市民の皆様に分かりやすい情報配信を心がけて参ります。

【この記事の執筆者】

井ノ上剛(いのうえごう)
◆プロフィール
 奈良県橿原市 1975年生まれ
 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒

◆奈良県橿原市議会議員/井ノ上剛(いのうえごう)公式サイト
◆介護職員実務者研修修了
社会保険労務士、行政書士

(執筆の内容は投稿日時点の法制度に基づいています。ご留意ください。)