橿原市の100条委員会_プロパンガス(LPガス)契約問題

5分でわかる橿原市の100条委員会_プロパンガス(LPガス)契約問題

今回は令和6年度に橿原市で開催されている100条委員会について、要点を分かりやすくご説明します。

同じ内容をYoutube動画でも説明しています。

100条委員会とは

初めに100条委員会の位置づけをご説明します。100条委員会とは、地方自治法第100条の規定に基づき、自治体の業務上の問題点を検証するための機関です。理由なしに出席を拒んだ場合や、うその証言を行った場合、罰則が科されるという重要な委員会です。

橿原市の100条委員会は、令和6年3月の予算委員会で「市とプロパンガス事業者の間で取り交わされている契約書に問題がある」との指摘に基づき設置されました。

11月までに複数回の証人尋問や質疑を重ね、12月議会開催中に、100条委員会の結論を報告書として取りまとめ、市に是正を求める予定です。以下、100条委員会で問題視されているポイントを6点にまとめてご説明します。

契約書通りの代金支払いになっていない

1点目は、契約書通りの代金支払いになっていないという点です。契約書では橿原市の契約相手先は「プロパンガス事業者で構成する組合」となっており、実際のプロパンガスの納入、請求、代金のやりとりは、「14ある個々のガス事業者との間で行う」とされています。

にもかかわらず、橿原市はプロパンガス組合へ代金を支払ってきました。

01橿原市からプロパンガス組合へ支払い

この時点で契約違反と言えるわけですが、「公金の流れが不透明である」との問題点も同時に指摘されています。

登録業者制度の問題

2点目は、登録業者制度上の問題です。橿原市では公金の支払い先に「登録業者制度」を採用しています。公金の支払い先として適正かを審査する目的です。今回のケースで言うと、プロパンガス組合は業者登録されていますが、14ある個々のガス事業者は登録されていません。

仮に契約書の内容通りに、橿原市が個々のガス事業者に代金を支払った場合に、「登録業者制度上の問題が生じないのか」という点も指摘されています。

02橿原市から業者登録していないガス事業者へ支払い

このような契約形態を採ったことに、そもそも理由があるのか

3点目は、このような契約形態を採ったことに、そもそも理由があるのかという問題です。契約主体は、プロパンガス組合、14のガス事業者、橿原市です。この理由について、橿原市は「市内に点在する14のガス事業者から、プロパンガスを安定供給できるようにするため」と回答しています。しかし現実的には、14あるガス事業者のうち、プロパンガスを納入しているのは一部の事業者に集中しており、納入実績がゼロの事業者も存在します。

03特定のガス事業者の納入が集中

この点についても、100条委員会で検証を重ねているところです。

ガス事業者に橿原市議会議員の会社が含まれている

4点目は、14あるガス事業者の中に、橿原市議会議員が代表を務める会社が含まれている点です。

04市議会議員が代表の会社がある

この問題は、すでに別に開催されている政治倫理審査会で、「条例違反」と認定され、事実関係が公表されています。

納入価格の検証を長期間実施していない

5点目は、プロパンガスの納入価格の検証を、橿原市が長期間に渡り実施していない点です。この問題はここまで説明した各問題とも関連しますが、歴代の市長や担当部局の責任者の顔ぶれが変わっても、検証を怠ってきた感があります。

各部局による対応の違い

最後に6点目が、各部局による対応の違いです。繰り返しになりますが、100条委員会の目的は、「プロパンガス契約の問題点を検証し、市に是正を求めること」です。

この点、橿原市の各部局も理解しているはずですが、100条委員会の結論を待たずに、プロパンガス代金支払先の変更に関する庁内の業務連絡を行いました。またこの業務連絡が不明確であったがために、各部局による対応に大きな差が生じています。庁内の指示命令や意思疎通上の問題であると言えます。

まとめ

以上が令和6年度に橿原市で開催されている100条委員会の要点です。委員会報告書により、公金支出が適正化されることを心から願います。最後までご覧頂き誠にありがとうございました。

【この記事の執筆者】

井ノ上剛(いのうえごう)
◆プロフィール
 奈良県橿原市 1975年生まれ
 奈良県立畝傍高校卒 / 同志社大学法学部卒

◆奈良県橿原市議会議員/井ノ上剛(いのうえごう)公式サイト
◆介護職員実務者研修修了
社会保険労務士、行政書士

(執筆の内容は投稿日時点の法制度に基づいています。ご留意ください。)